こんにちは。今日は、落石対策工の横断方向について、自分の考えを述べたいと思います。あくまでも私の考えなので、意見等いただけると幸いです。

道路設計では、道路の中心にセンターを設け、直角方向に横断を取ります。しかし、落石対策工の場合は、斜面方向に横断を取るのが常識らしい。本当にそうなのだろうか?

ネット検索、書籍検索。まったくヒットなし

とりあえず、ネット検索で落石対策工の横断方向について、調べてみました。全くヒットしない…。これが土木業界のクソなところだ。常識と言い張って、ノウハウの一つも書き記さない。それでは常識ではない。ただの独りよがりである。

設計段階での、必要性から考えてみる

設計段階において、横断図は落石対策工の設計にとって、とても重要となってくる。なぜなら、斜面の勾配、落石の高さによって、落石衝突エネルギーが決定し、施す落石対策工が決定されるからである。

図1. 落石エネルギーを決定する要素

落石エネルギーEは、落石質量W、高さH、斜面角度θにより、以下の式で計算される。

$$E=(1+\beta)(1-\frac{\mu}{\tan\theta})W\cdot{H}$$
β:回転エネルギー、μ:等価摩擦係数
出典:H29 落石対策便覧 日本道路協会

ここで、以下の道路に落石対策施設を検討することを考えてみよう。

図2. 落石対策施設の検討区間(フィクション)
(国土地理院地図より作成)

落石調査の結果、上記の範囲にて浮石が見られ、下部の道路に対して落石対策施設を検討することとします。落石対策施設検討にあたり、横断測量を実施したい。このとき、道路と直角に横断方向を決定したのが、赤線、斜面方向に決めたのが、オレンジ線で表されています。

岩塊①、②でとった横断形状を比較してみましょう。

落石岩塊①の横断面について

図3.落石岩塊①の横断断面図
(国土地理院地図より作成・編集)

まず、①の岩塊についてですが、直角方向・斜面方向それぞれの横断形状にそこまで違いは見られません。どちらの断面で落石エネルギーを計算しても、計算結果にさほど違いはないと考えられます。むしろ、道路直角でとった横断のほうが、道路部の幅を正確に反映し、施工計画図などを作る際は有用であると考えられます。

落石岩塊②の横断面について

図4. 落石岩塊②の横断断面図
(国土地理院地図より作成・編集)

一方、落石岩塊②の横断面は、上部が沢地形であるため、横断形状が大きく異なり、よって、落石エネルギーも大きく異なってきます。

道路側部に落石防護網などの落石防護施設を計画する場合、道路直角面のほうが道路との距離が短くなるため、落石エネルギーが大きくなります。しかし、落石は斜面方向に滑落するため、実際には斜面方向のエネルギーが妥当であると考えられます。よって、直角方向で落石エネルギーを検討すると過剰設計となる恐れがあります。

図5. 落石岩塊②の横断断面図
(国土地理院地図より作成・編集)

道路側部に落石施設を計画する場合は、「落石エネルギーが大きくなる直角方向の断面の安全側で設計しました」といえば、まだ逃げはできると思います。しかし、斜面上に設置する対策(斜面設置型落石防護柵)や予防工を検討する場合、道路直角の横断では非常に困ったことになります。

図6. 落石岩塊②の横断断面図
(国土地理院地図より作成・編集)

落石予防工を検討する際、落石が止まっている斜面の角度が抑止の計算にかかってきます。②の道路直角方向に取った横断は、沢地形であるため、落石の地点では、ゆるい傾斜となります。その結果、こちらの横断では落石が摩擦によって滑り落ちないという計算結果が出てしまう恐れがあります。実際には、斜面方向に滑り落ちますので、こちらの断面を使わないと正確な落石対策設計ができないということになります。

まとめ

以上のケースより、私の見解を述べてみたいと思います。

  • 基本的には、①のように道路直角方向と斜面方向で形状が変わることが少ない。よって、設計上問題になるケースは、特定の場合に限られる。
  • むしろ、道路直角方向の横断がないと施工計画の際、道路幅が正確に取れない、また防護工などの対策工は道路と直角に作られるため、道路と直角の横断は、基本的には必要となる。
  • しかし、②のような沢地形の場合、斜面形状が大きく変わる。特に斜面上に施す対策工(予防工など)を検討する際、道路直角横断では不適となるので、十分発注者と協議の上、W断面等を作成し、検討横断を補完する必要がある。