【測量士補　過去問解答】令和4年（2022）No.8

　次の文は，GNSS 測量について述べたものである。 ア ～ オ に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。

　ア 　測位とは，搬送波位相を用いて 2 点間の相対的な位置関係を決定する方法をいう。ア　 測位では，共通の衛星について 2 点間の搬送波位相の差を取ることで， イ 　誤差が消去された一重位相差を求める。さらに， 2 衛星についての一重位相差の差を取ることで　イ　 誤差に加え 　ウ　 誤差が消去された二重位相差を得る。これらを含めた　エ　 により，基線ベクトルを求める。
　公共測量における 1 級基準点測量において，電子基準点のみを既知点とした GNSS 測量を行う場合，測量計算に及ぼす地殻変動によるひずみの影響が大きくなるため， オ を行う必要がある。

解答・解説

（１）GNSSの観測方法

　以下の2つに分類できる。

• 単独測位：1台のGPS受信機を用いて位置を求める方法（位置精度10cm程度）
• 干渉測位（ア）：2台以上のGPS受信機を用いて位置を求める方法（位置精度1cm程度）　

　上記のうち、測量では2点間の相対的な位置関係を決定する干渉測位（ア）を用いる。

（２）GNSS測量の誤差とその消去方法

　GNSS測量は、衛星より送信される搬送波を観測することで、位置決定を行う。その際、各衛星が搬送波を送信する時間（時計）、各受信機が波を受信した時間（時計）による誤差（それぞれ、衛星時計誤差、受信機時計誤差）が生じる。それぞれの消去方法は以下のとおりである。

　①　衛星時計誤差の消去

　各衛星が固有の時計誤差を持っているとする（例えば、衛星１，衛星２ではそれぞれΔD1、ΔD2というように）。このとき、同一衛星から送信された搬送波を異なる2点で観測し、位相差を取ることで、衛星時計誤差（イ）は消去される。

　②　受信機時計誤差の消去

　各受信機が、固有の時計誤差を持っているとする。（例えば、受信機A、受信機BではそれぞれΔDA、ΔDBというように）。このとき、異なる衛星より同一の受信機を観測し、位相差を求めることで、受信機時計誤差（ウ）は消去される。

　上記①、②を消去した「二重位相差」を含めた基線解析（エ）により、基線ベクトルを求める。

（３）地殻変動によるひずみの影響

　公共測量において、既知点間の距離が長くなると、地殻変動によるひずみの影響を考慮しないと，近傍の基準点との間に不整合を生じる。そのため、国土地理院が公開している地殻変動補正パラメータを用いて、セミ・ダイナミック補正（オ）を行う必要がある。

　なお、地区変動の基準日を元期、地殻変動後の現在の観測日を今期と呼ぶ。

R4年度　測量士補　過去問解答

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