測量士・測量士補 分野別解説

【測量士・測量士補】高さの基準、標高と楕円体高の関係とは?

こんにちは、日中はかなり暑くなってきました。現場作業するときは、熱中症に気を付けましょう。

さて、前の記事では、測量で用いられる位置(座標)の基準について記事にしました。今回は、高さの基準について簡単にまとめていきたいと思います。

まず、例によって測量法の記述を見てみましょう。

第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。

一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。

測量標

高さについては、①平均海面からの高さ、②地心直角座標系の2つで表すことが記載されています。

(1)平均海面(ジオイド面)からの高さ:
   標高について

まず、平均海面からの高さについて、説明します。少しぼかした書き方がされていますが、平均海面からの高さは、いわゆる標高と同義です。

海面は気候などの影響で絶えず変動しますが、長期的な観測により平均をとることで平均海面としています。日本では、東京湾の平均海面から高さを標高として取り扱っています。この「平均海面の陸地まで延長した面」をジオイド面と呼んでいます。

ジオイド面は平均海面の延長であるため、地球全体では地球の形に添って延長される、すなわちきれいな楕円体形状となっていると想像される人もいるかもしれません。しかし、実際には各地点の重力などの違いによって、ゆるやかな凹凸があります。

(2)地心直交座標系における高さ:
   楕円体高について

次に、地心直交座標系を用いる際の高さについて、説明します。
(地心直交座標系についてはこちらのページをご参照ください)

地心直交座標系の(X,Y,Z)には、高さの要素がそれぞれの座標に含まれてしまうため、非常に扱いずらいです。そのため、地心直交座標系では、楕円体に直交する軸(u)を、高さの指標として定義しています。この軸によって表される高さを楕円体高と呼びます。

地心直交座標系の位置を定めるGNSS測量では、標高ではなく、楕円体高で高さが示されます。局所測地座標系についてはまた別の記事に書こうと思います。

(3)標高と楕円体高の関係

上記2つの高さの基準の関係について、試験でよく出題されます、GNSS測量では、楕円体高が測定されるため、楕円体高から標高へ変換する必要があります。2つの高さは、以下の式の関係が成立します。

標高楕円体高 - ジオイド高

ジオイド高は、準拠楕円体からジオイド面までの高さで、ジオイドモデルによって決定されています。国土地理院のHPよりジオイドモデルについては確認することができます。

日本のジオイドモデル2011(ver2.1) 国土地理院HP

(4)試験問題の一例

【測量士補 過去問解答】令和元年(2019)NO.4 正誤付き選択肢
【測量士補 過去問解答】平成30年(2018) No.4 正誤付き選択肢
【測量士補 過去問解答】平成29年(2017) No.4 正誤付き選択肢

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