次の(ア)~(カ)は,水準測量の誤差であり, A ~ E は,それぞれの誤差を軽減又は消去するための対策を述べたものである。水準測量の誤差とその主な対策として最も適当な組合せはどれか。
ただし,対策は複数の誤差を軽減又は消去する場合がある。
【誤差】
(ア)鉛直軸誤差
(イ)標尺の零点誤差
(ウ)視準線誤差
(エ)標尺の目盛誤差
(オ)球差
(カ)三脚の沈下による誤差
解答:【誤差を軽減又は消去するための対策】
A .往路の出発点に立てる標尺と復路の出発点に立てる標尺を交換する。
(エ)目盛り誤差:標尺の目盛りが正しくない状態で生じる。往復の標尺を交換することで、2つの標尺によって各々の地点を観測することになるため、目盛りの誤差が軽減される。
B .後視,前視,前視,後視の順に観測する。
(カ)三脚の沈下による誤差:上記の観測方法によって、一組の比高差観測を短くできる。よって、時間的変化による生じる誤差(三脚の沈下、気象の変化による誤差)を小さくできる。
C .2本の標尺を結ぶ線上にレベルを置き,進行方向に対し三脚の特定の 2 本を常に視準線に平行に設置し,かつそのうちの特定の 1 本を常に同一標尺に向ける。
(ア)鉛直軸誤差:点対称になるように三脚を添えることで、鉛直軸誤差を軽減する。ただし、完全に除去することまではできない。

D .2本の標尺を結ぶ線上にレベルを置き,レベルと前視の標尺及び後視の標尺との距離を等しくする。
(ウ)視準軸誤差:視準距離を同じにすることで、両サイトで同じだけ誤差が生じるため、比高差の誤差を消去される。

(オ)球差:視準距離を同じすることで、両サイト同じだけ誤差が生じるため、比高差の誤差が消去される。

E .2本 1 組の標尺を用いる場合は,水準点又は固定点への到着時の測点数を偶数とする。
(イ)標尺の零点誤差

それぞれのレベル観測の値(誤差がない値)をB.S(n)、またはF.S(n)とする(nはレベルの据付回数)。高低差を求める式は、
{(B.S(1)+a)ー(F.S(1)+b)}・・・1回目据え付けの高低差。
{(B.S(2)+b)ー(F.S(2)+a)}・・・2回目据え付けの高低差。
{(B.S(3)+a)ー(F.S(3)+b)}・・・3回目据え付けの高低差。
{(B.S(4)+b)ー(F.S(4)+a)}・・・4回目据え付けの高低差。
(色分けは、上記の標尺の色と対応)
上記の和が、路線全体の高低差となるので、
Δh=(B.S(1)ー(F.S(1))+
(B.S(2)ー(F.S(2))+
(B.S(3)ー(F.S(3))+
(B.S(4)ー(F.S(4))+(2a-2a)+(2b-2b)
となる、下線部より、誤差a,bが高低差を求める際に消去されていることがわかる。
参考ページ
R2年度 測量士 過去問解答
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