測量士補・測量士 過去問解答

【測量士 記述式解答】令和4年(2022)2-C-2. バイリニア補間法

 電子基準点のみを既知点として 1 級基準点測量を行った。電子基準点 A,B 及びC を既知点とし,新点 D,E に GNSS 測量機を設置して観測を行った。その後,セミ・ダイナミック補正を行い新点 D,E の座標値を求めた。
 図1は,既知点及び新点の位置関係とセミ・ダイナミック補正を行うためのグリッドを模式的に示したもので,図中の地殻変動補正量(以下「補正量」という。)の矢印は大きさを誇張して表示した。
 格子点 P0,P1,P2,P3,P4,P5 と新点 D,E の座標値及び補正量は,表1及び表2 のとおりとする。また,表中の座標値は平面直角座標系(平成 14 年国土交通省告示第 9 号)に換算した値で,全点の標高は同一とする。
 このとき,表2及び表3の カ ~ セ に入る最も適当な数値を,m 単位で小数第 4 位を四捨五入し,小数第 3 位まで求め,それぞれ解答欄に記せ。
 ただし,補正量の算出に当たっては,バイリニア補間法で行い,基線長の測定誤差は考えないものとする

表1.

名称 座標値(m) 補正量(m)
X Y ΔX ΔY
格子点P0 +2,000.000 +5,000.000 +0.030 +0.030
格子点P1 +4,000.000 +5,000.000 +0.030 +0.030
格子点P2 +6,000.000 +5,000.000 +0.030 +0.030
格子点P3 +2,000.000 +7,000.000 +0.070 +0.070
格子点P4 +4,000.000 +7,000.000 +0.070 +0.070
格子点P5 +6,000.000 +7,000.000 +0.070 +0.070

表2

名称 座標の時期 座標値(m) 補正量(m)
X Y ΔX ΔY
新点D 元期
今期 +4,700.000 +5,400.000
新点E 元期
今期 +3,900.000 +6,000.000

表3

新点D,E間の平面直角座標上の距離 元期 セ m
今期 1,000.000 m

解説・解答

 本問題は、R2.測量士試験2-C-3の類題になっています。バイリニア補間法の原理については、こちらのページをご参照ください。

 本問題は、過去問より複雑となり2格子分の地殻変動を考慮する必要があります。

① 座標を正規化する

 問題のP0~P5、Pを0~2で正規化する。(図の1マスで0~1で正規化する)以下のように、正規化し0~2で表す。

名称 座標値(m)   正規化  
  X Y X Y
格子点P0 +2,000.000 +5,000.000 0.000 0.000
格子点P1 +4,000.000 +5,000.000 1.000 0.000
格子点P2 +6,000.000 +5,000.000 2.000 0.000
格子点P3 +2,000.000 +7,000.000 0.000 1.000
格子点P4 +4,000.000 +7,000.000 1.000 1.000
格子点P5 +6,000.000 +7,000.000 2.000 1.000
新点D(今期) +4,700.000 +5,400.000 1.350 0.200
新点E(今期) +3,900.000 +6,000.000 0.950 0.500

② 地殻変動量ΔX、ΔYを求める

 各格子点P0~P5すべてにおいて、地殻変動量ΔX、ΔYの値は等しい。よって、新点D,Eにおける地殻変動量ΔX、ΔYも同値となるので、ここではΔXの値を用いてそれぞれの地殻変動量を計算する。

1)点Eの補正量を求める

 まず、E1(0、0.5)、E2(1、0.5)の地殻変動量ΔX1、ΔX2を求めると、

$$\Delta{X1}=(0.070-0.030)\times{0.500}+0.030=0.050\\
\Delta{X2}=(0.070-0.030)\times{0.500}+0.030=0.050$$

上記で求めたΔX1とΔX2を用い、E(0.950、0.500)の地殻変動量ΔXを求める。

$$\Delta{X}=(0.050-0.050)\times{0.950}+0.050=0.050$$

以上より、地殻変動量ΔX、ΔYは+0.050(シ、ス)

2)点Dの補正量を求める

 まず、D1(1、0.2)、D2(2、0.2)の地殻変動量ΔX1、ΔX2を求めると、

$$\Delta{X1}=(0.070-0.030)\times{0.200}+0.030=0.038\\
\Delta{X2}=(0.070-0.030)\times{0.200}+0.030=0.038$$

上記で求めたΔX1とΔX2を用い、D(1.350、0.200)の地殻変動量ΔXを求める。

$$\Delta{X}=(0.038-0.038)\times{(1.350-1.000)}+0.038=0.038$$

以上より、地殻変動量ΔX、ΔYは+0.038(ク、ケ)

③ 新点D、Eの元期座標を求める

  ②より、新点D、Eの元期座標を求める。

 D元期座標:X’=+4,700.000-0.038=+4,699.962(カ)、Y'=+5,400.000-0.038=+5,399.962(キ)
 E元期座標:X’=+3,900.000-0.050=+3,899.950(コ)、Y'=+6,000.000-0.050=+5,999.950(サ)

④ 新点D,Eの元期座標での距離を求める

 ③より、元期のD、Eが求められたので、

$$\begin{align}
\Delta{t}&=\sqrt{(4.699.962-3899.950)^{2}+(5399.962-5999.950)^{2}}\\
&=\sqrt{(800.012)^{2}+(-599.988)^{2}}\\
&=1000.002399
\end{align}$$

 以上より、D、E元期座標間の平面直角座標系上の距離は1000.002(セ)

R4年度 測量士 過去問解答

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No.25No.26No.27No.28択一総評 記述総評  
2-B-12-C-22-D5-B5-C-25-D-4

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