基準点 A,B 間の距離を測定しようとしたところ,障害物があったため,図に示すように,それぞれ偏心点 A1,B1 に偏心して観測を行った。観測により得られた値は,表のとおりである。このとき,基準点 A,B 間の基準面上の距離Sは幾らか。
ただし,a1,a2 は偏心角,e1,e2 は偏心距離,S1 は偏心点 A1,B1 間の距離である。また,距離は全て基準面上の距離に補正されているものとする。

S1 | 1,000.000 m |
e1 | 20.000m |
a1 | 300°00′00″ |
e2 | 50.000 m |
a2 | 315°00′00″ |
解答
A、Bそれぞれより、A1B1へ垂線をおろし、下図のように要素を整理します

△ABPが直角三角形であるため、三平方の定理よりAB(=S)を求めます。
$$\begin{align}S^{2} &=AP^{2}+BP^{2} \\
&=(e_{1}\sin{60°}+e_{2}\sin{45°})^{2}+(S_{1}-e_{1}\cos{60°}-e_{2}\cos{45°})^{2} \\
&=(e_{1}\sin{60°})^{2}+(e_{2}\sin{45°})^{2}+2e_{1}e_{2}\sin{60°}\sin{45°}+ \\
&S1^{2}+(e_{1}\cos{60°})^{2}+(e_{2}\cos{45°})^{2}-2S_{1}e_{1}\cos{60°}-2S_{1}e_{2}\cos{45°}+2e_{1}e_{2}\cos{60°}\cos{45°}\end{align}$$
ここで、\(\sin{\theta}^{2}+\cos{\theta}^{2}=1\)、 \(\cos{(\alpha-\beta)}=cos{\alpha}\cos{\beta}+\sin{\alpha}\sin{\beta}\)となるので、
$$S^{2}=S_{1}^{2}+e_{1}^{2}+e_{2}^{2}+2e_{1}e_{2}\cos{15°}-2S_{1}e_{1}\cos{60°}-2S_{1}e_{2}\cos{45°}$$
ここで、S1=1000、e1=20、e2=50、cos45°=0.70711、cos60°=0.5、cos15°=0.96593を代入すると、
$$S^{2}=1000^{2}+20^{2}+50^{2}+2\times{20}\times{50}\times{0.96593}-2\times{1000}\times{20}\times{0.5}-2\times{1000}\times{50}\times{0.70711}=914120.86$$
以上より、Sの長さは、\(\sqrt{914120.86}=956.097\)mとなる。(答)
解答のポイント
三平方の式を立式したところで代入してもできるが、細かい引き算や二乗の計算がかかわるため、計算ミスを起こしやすい。今回の解答では、三角関数の公式を駆使し、できる限り代入した後の計算を少なくしました。逆にこちらの方法は、公式を間違えるとアウトなので、使う場合はしっかりと公式を覚えておきましょう。
R4年度 測量士 過去問解答
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No.25 | No.26 | No.27 | No.28 | 択一総評 | 記述総評 | ||
2-B-1 | 2-C-2 | 2-D | 5-B | 5-C-2 | 5-D-4 |