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【CADオペレータ】公図トレース①:公図の利用方法、見方について

 こんにちは、本州が梅雨入りし始めました(記事書き始め)。書き終わるころには夏になっているでしょうか。

 さて、今回より少し実務的な部分を書いていけたらと思います。実務編第1回目は、「公図トレース」についてです。CADの操作に慣れるために最初に振られる仕事だと思います。

 今回は、「公図の利用方法、見方について」説明していきます。

1. 公図とは

 公図とは、日本中の土地の形状、地番、道路、水路などを表す図面のことです。下記のような図面を全国法務局で管理しています。

※注意:上記はあくまでも仮想の公図であり、実在するものではない。

 地図上には、数字と線のみが書かれています。それぞれ線は土地や道の筆界を、数字はその土地の地番を表しています。その他、座標系、地図の縮尺、地図の種類など下記の表の中に記載されています。

2. 公図の利用方法 

 公図は、土地形状の確認、分筆の確認、区画の所有者の確認…etc、様々な用途に用いられます。

 公共事業を行う上で、土地の所有者、買収する土地の範囲を確認するため、公図を平面図、ないし航空写真と重ねることがよくあります。特に航空写真と公図を重ねることで、地元の方にも分かりやすい資料となります。

 上記の例で、航空写真と重ねた場合、こんな感じになります(イメージです)。

イラスト屋の素材を用いて作成

 土地の形状、土地面積がわかりやすく表現されているのではないでしょうか。多くの場合、この重ね図を作成するために、「公図のトレース」を行います。

 公図は、紙のスキャン、ないしはPDFファイル等のラスターデータであるため、CADソフトで編集・操作することができません。そのため、「トレース」を行い、「ラスターデータ」である公図を「ベクターデータ」へ変換する必要が出てきます。この変換作業が、いわゆる「公図トレース」に該当します。

3. 公図の見方

 正しいトレースをするためには、公図の見方を理解しておく必要があります。各項目について、説明します。

① 公図(図面)

 土地の形状、土地の地番、道、水を表した図面です。土地の区画線を表す線は「筆界」です。「トレース」をする際、「筆界」と「地番」をCAD上に記入していきます。

② 座標値

 地図(法第14条第1項)に該当する公図では、左下と右上に座標値が記載されています。これは、公図が属する平面直角座標系の座標値です。それぞれ公図上の左下、ないし右上の座標値を表します。

 公図を複数合わせる際、基準となる値となるため非常に重要です。航空写真、平面図と重ねる際も、この座標値を基準に公図を重ねます。

 平面直角座標系において、X座標は南北方向、Y座標は東西方向を表します。公図上では、縦書きの数値がX座標、横書きの数値がY座標を表します。どっちがどっちの座標値か忘れた場合は、座標値と縮尺値から思い出しましょう(別の記事で解説します)。

③ 所在

 公図が属する所在地を示します。

④ 地番

 取り寄せた公図の地番を示します。請求地番が公図の中心となり、所定範囲の筆界、地番が公図上に示されます。

⑤ 出力縮尺

 公図が描かれる縮尺を示します。法第14条に該当する地図では、不動産登記規則によって地域ごと地図の縮尺が決められています。

区分 縮尺
市街地地域(主に宅地が占める地域、およびその周辺の地域) 1/250、または1/500
村落、農耕地域(主に田、畑、又は塩田が占める地域、およびその周辺の地域) 1/500、または1/1000
山林、原野地域(主に山林、牧場または原野が占める市域、およびその周辺地域) 1/1000、または1/2500

 一方、地図に準ずる図面(旧図)では、1/600に設定されていることが多いです。

⑥ 精度区分

 公図の精度区分を表します。甲1~3、乙1~3まで精度区分があり、精度が高い順に甲1>甲2>甲3>乙1>乙2>乙3となります。

 精度区分と地域区分は、下記のように定められています。

地域区分 精度区分
市街地地域 精度区分甲2まで
村落、農耕地域 精度区分乙1まで
山林、原野地域 精度区分乙3まで

⑦ 座標系番号又は記号

 公図が属する平面直角座標系の座標系番号を示します。平面直角座標系については、別の記事で解説する予定です。

⑧ 分類

 公図をトレースするうえで、一番気を付ける項目だと思います。地図の分類について記載されています。

 地図は、下記のように大きく二つに分類することができます。

分類 説明
地図(法第14条第1項) 平面直角座標系の座標値を有し、ある一定の精度を有する図面
地図に準ずる図面 座標値を持たず、精度の低い図面

 地図(法第14条第1項)は座標値を持ち、精度が高い図面であるため、ほぼぴったり平面図や航空写真に合わせることができます。一方で、地図に準ずる図面は、座標値がなく、精度も低いので、平面図や航空写真とぴったり合わせることができません。

⑨ 種類

 公図に使用されている地図の種類を示します。地図(法第14条第1項)では、「地籍図」等、地図に準ずる図面では「旧土地台帳附属地図」等が記載されます。

4. 参考ページ

「ラスターデータ、ベクターデータ」、「トレース」それぞれ下記の記事で解説しています。参考にしてみてください。

【土木CADオペレータ】CADデータの性質:ベクタデータとラスターデータ

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【CADオペレータ】図面トレースで注意することをまとめてみた。

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