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【CADオペレータ】公図トレース③:公図転写連続図の作成

 こんにちは、管理人です。シルバーウィーク真っ只中でしょうか?

 本日は、いよいよ公図転写連続図の作成について書いていきます。CAD初心者が最初に任される仕事の一つだと思います。作成方法を基本に立ち返って示していきたいと思います。

こんな疑問に答えます

  • 公図転写(連続)図って何なの?
  • 公図転写(連続)図に記載する内容は?
  • 転写連続図はCADを使ってどうやって作るの?
  • 転写連続図を作る際、注意するポイントとは?

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1. 公図転写(連続)図とは?

 公図転写(連続)図は、用地測量の資料調査で作成します。転写図は、買収する用地の土地、所有者、地目の確認資料となります。

(要 旨)
第593条 「資料調査」とは、土地の取得等に係る土地について、用地測量に必要な資料等を整理及び作成する作業をいう。
(方 法)
第594条 資料調査は、作業計画に基づき、法務局等に備える地図、地図に準ずる図面、地積測量図等公共団体に備える地図等(以下「公図等」という。)の転写並びに土地及び建物の登記記録の調査及び権利者確認調査に区分して行うものとする。
(公図等の転写)
第595条 公図等の転写は、管轄法務局等に備える公図等に基づき公図等転写図を作成する。
2 調査する区域が広範な場合は、公図等転写連続図を作成する

R2.作業規程の準則(国土交通省)

 下図が、公図転写(連続)図の一例です。国交省の共通仕様書では、筆界内に地番、登記名義人の氏名などを記入するようになっています。それ以上の内容は協議によりますが、通常は地目も書き加えます。

(地図の転写)
第41条 地図の転写は、調査区域について管轄登記所に備付けてある地図(不動産登記法(平成 16 年法律第 123 号)第 14 条第1項又は同条第4項の規定により管轄登記所に備える地図又は地図に準ずる図面をいう。以下同じ。)を次の各号に定める方法により行うものとする。
一 転写した地図には、地図の着色に従って着色する。
二 転写した地図には、方位、縮尺、市町村名、大字名、字名(隣接字名を含む。)及び地番を記載する。
三 転写した地図には、管轄登記所名、転写年月日及び転写を行った者の氏名を記入する。

(土地の登記記録の調査)
第42条 土地の登記記録の調査は、前条で作成した地図から監督職員が指示する範囲の土地に係わる次の各号に掲げる登記事項について行うものとする。
一 土地の所在及び地番並びに当該地番に係る最終支号
二 地目及び地積
三 登記名義人の氏名等及び住所等
(省略)

(転写連続地図の作成)
第47条 転写した地図は、各葉を複写して連続させた地図(この地図を「転写連続図」という。以下同じ。)を作成し、次の事項を記入するものとする。
一 工事計画平面図等に基づく土地の取得等の予定線
二 第 42 条第3号で調査した登記名義人の氏名等
管轄登記所名、転写年月日及び転写を行った者の氏名

R4.用地調査等業務共通仕様書(国土交通省 中部地方整備局)

 本記事では、上記のような公図転写(連続)図を、法務局から取り寄せた公図から作成する方法を紹介します。

2. 公図転写(連続)図作成のために用意するもの

 公図転写連続図を作るために用意するものは、以下の通りです。

用意するもの

(1)公図
(2)全部事項(要約書)
(3)スキャナー
(4)CADソフト

(1)公図

 地図(法第14条第1項)、地図に準ずる図面いずれもトレース対象となります。法務局で申請した場合は紙媒体で、登記情報提供サービスで申請した場合は電子ファイル(PDFファイル)で手に入りますが、いずれの形式でもトレース可能です。

(2)全部事項証明書(要約書)

  転写図に記載する地目、登記者氏名、(地積)の確認資料として利用します。その他の権利についても記載されていますが、今回は使用しません。

 (1)公図、(2)全部事項証明書の入手方法は、下記のページで紹介しています。

【CADオペレータ】公図トレース②:公図の入手方法

続きを見る

(3)スキャナー

 紙媒体の公図を、ラスターデータへ変換するために利用します。

(4)CADソフト

 ラスタデータをトレースにより、ベクターデータへ変換するために利用します。また、取り込んだラスタデータのサイズ調整にも使用します。

 使用するCADの機能の中に、「4点補正」が入っているソフトが推奨されます。2点補正でもある程度の転写連続図は作成できますが、歪んだ公図をトレースするため、誤差が大きくなります。

 お使いのCADソフトで機能が備わっているか確認してみてください。測量CADやラスターを扱うCADには備わっていることが多いと思います。

3-1. 公図転写図の作成手順

 公図転写連続図の作成過程を順を追って説明します。

(1)公図をラスタデータとする

 入手した公図をスキャナー等でラスタデータします。ラスタデータには、gif. jpg.などの拡張子がありますが、一般的にはtif形式を利用します。トレースを行う際、高解像度で取り込んどいたほうがやりやすいです。

 登記情報サービス等で申請した公図はPDFファイルで手に入りますので、適宜使用するフォーマットへ変更する必要があります。

(2)CADソフトにラスタデータを取り込む

 使用しているCADデータにラスタデータを取り込みます。使用しているCADデータで取り込めるファイル形式を確認しておきましょう。ほとんどのCADソフトで「画像を取り込む」という操作でラスタデータを取り込むことができると思います。

(3)CADソフトでラスタデータのサイズ調整を行う

 公図トレースにおいて、(3)の作業が最も重要です

 スキャナー等で読み込んだ公図データは、微妙にゆがんだ形状になっています。このままCADソフトでトレースをしてしまうと、ゆがんだトレースとなり、誤差が大きくになってしまいます。

 そのため、CADデータに公図を取り込んだら、まずサイズ調整を行います。法務局より取り寄せる公図は、下記のサイズになっています。

 X軸方向(南北方向)252mm(1/500のとき、126m)、Y軸方向(東西方向)250mm(1/500のとき、125m)の長方形が公図の正規サイズとなります。トレース前に、「4点補正」等で四隅を、正規サイズに補正します。これにより、スキャン等で生じた図面の歪みを解消します。

歪み解消の操作イメージ 四隅を正規サイズへ4点補正する

(4)筆界線をトレースする

 正規サイズへ補正したら、いよいよ筆界線をトレースします。(3)の作業が正確にできていれば、あとは単純作業になります。

 トレースした筆界線が分かるように、公図とは別の色でトレースするのがお勧めです。

 また、雑にトレースすると、その分ずれが生じるので丁寧にトレースすることを心掛けましょう。

(5)筆界内に地番、登記者氏名、地目等を記入する

 トレース終了後、地番、登記者名、地目等を記入します(表示順は、上司や発注者側と協議するとよいと思います)。これにより、公図転写図が完成します。

3-2. 公図転写連続図の作成手順

 公図転写連続図は、3-1で説明した公図転写図をつなぎ合わせた図面です。よって、上記の手順で作成したトレースを適宜つなぎ合わせれば、転写連続図は完成します。しかし、公図と公図のつなぎ合わせで微妙にトレース線がずれるので、つなげた後でつなぎ目の調整が必要になります。

 そこで今回は、あらかじめラスタデータ公図間をつなげておき、つなぎ目の調整が必要ない方法を紹介します。ここでは、下2枚の公図をつなぎ合わせて、公図転写連続図を作成します。(第14条第1項の地図が対象)

(1)座標設定をする

 トレースする公図が図面上に入るよう図面の座標設定をします。図面の座標設定方法はCADソフトごと異なりますので、お使いのCADソフトのヘルプを参照してください。

(2)座標値を図面上へ落とし、公図を配置する枠を作る

 連続図とする公図の座標値(四隅の座標値)を図面上にプロットし、公図を配置する枠を作成します。

 今回は、下図のような枠を作成します。

(3)公図部分を切り抜き、座標値に基づき配置する

 (2)の枠に合わせて、公図を配置します。スキャナの歪み等は、4点補正で解消します。

(4)トレース、地番等の記入をする

 (3)をトレースします。あらかじめ、公図同士が重なっているため、別々にトレースした時とは違い、つなぎ目で再度調整する必要はありません。これにより、公図転写連続図が完成します。

4. 公図転写連続図作成時の注意点

 公図転写連続図を作成する際の注意点を以下に記載します。

(1)地図に準ずる図面(旧図)のトレース

 上記で説明した作成法は、第14条第1項の地図が対象となります。地図に準ずる図面(旧図)は、座標値を持ちませんので、3-2.の作成方法は適用できません。公図の絵で、公図同士を重ね合わせておき、トレースを行います。

 また、旧図には筆界間が離れていたり、隣接する部分が不整合となるものもあります。これらは調整せずに、そのままトレースします。誤って筆界線をつなぎ合わせてトレースしないようにしましょう。

(2)公図印刷時の注意点

 PDFの公図を紙で印刷し、つなぎ合わせて転写連続図を作成することがあります(CADにする前段階の作業として)。その際、印刷の設定により、出力される公図が縮小されてしまうことがあります。 

 印刷した公図を次重ねる際には、以下の項目を確認しましょう。

公図印刷の際、注意すること

  • 印刷設定で、「実際のサイズで印刷」する設定になっているか。
  • 印刷された公図が、正規サイズ(250×252mm)になっているか。

5. まとめ

ココがポイント

  • 公図(転写)転写図は、買収する用地の土地、所有者、地目の確認資料として利用される。
  • 転写連続図の筆界内に、地番、地目、登記者氏名を記載する。
  • 正規サイズ(250mm×252mm)へ、4点補正等で合わせてからトレースする。
  • 地図に準ずる図面の不整合箇所は、調整せずにトレースする。

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