こんにちは、10月になり一気に寒くなりました。前回から続いている「CADオペレーターお仕事シリーズ」、一応今回が最後の記事になる予定です。
今回は、「(会社が)CADオペレーターに対して真に期待していること」についてです。土木業界で需要が高まっているCADオペレーターですが、最終的には何を期待されているのでしょうか。
前回までの記事はこちらです。
【土木実務】土木CADオペレーターの仕事①:設計技術者との違い
【土木実務】土木CADオペレーターのお仕事②:どんな人がCADオペレーターをやっているの?
1.表面上は、土木業務内の"作業"を担い、
技術者の負担を軽減すること
以前の記事でも書きましたが、土木委託業務は膨大な作業を要求されます。例えば、道路ルートを検討するため、図上で縦横断を作成する作業(ペーロケという)は、非常に手間がかかる作業です。
このような手間がかかる作業に対し、技術者の負担を減らすことがCADオペレーターの役割となります。
簡単にイメージ化すると、以下の図のように表すことができます。

主な業務は、委託業務の中でも専門知識を使わないものが多いですが、とはいえ図面の見方、線の意味、設計の過程をわかっていなければ、仕事は務まりません。高度なことまでは要求されないにしても、専門知識の基本的な部分の勉強は必要となると思います。
2. 本質的には"若年技術者の役割”を補完すること
さて、CADオペの役割は表面上は上記のとおりですが、本質的には”若年技術者として活躍してもらう”ことを期待されています。
そもそも、なぜCADオペレータという職業が今日注目され始めているのか?理由は、以下の2つと私は考えております。
- CADの普及により、高齢技術者が業務を行う上で支障が出たため。
(要はパソコンが使えないから、その補助をする必要がある) - 少子高齢化により、若年技術者が減少したため、若年技術者の代わりとしての労働力が必要となった。
重要なのは、2番目の理由です。要は施工でも、設計分野でも若い人がいないんです。国土交通省のデータによると、建設業の29歳以下の就業者は約1割です。

URL:https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf
土木は人々の生活を支える産業であるが故、若手不足は生活の存続に深刻にかかわってきます。この若手不足、言い換えれば労働力不足の解消方法として、CADオペという職業ができたわけです。
CADオペは、非常に門戸が広い職業となっています。募集の際は、"あくまでも(給料が少し高い)事務職"として募集されることが多いです。そのため、女性も多く活躍しています。
しかし会社は、できればCADオペの垣根を超え、技術者へとシフトさせることを考えています。なぜなら、CADオペの仕事内容は、若年技術者の仕事とニアリーイコールであり、設計・施工に関する技術を学ぶことになるからです。
図で表すとこんな感じでしょうか。

特にこの傾向は、中小企業に多いような気がします(人手不足であるから)。大手のほうはまだ分業体制のようです。
よって、求人等でCADオペと募集をしていたら、「技術者になることを期待されている」と頭の片隅で思っておいたほうがいいかもしれません。
3.まとめ
CADオペレーターに求められていることをまとめます。
- 表面上は、設計・施工などの補助業務。CADなどの作業的な部分を担当し、技術者との分業を図る。
- 本質的には、若年技術者としての立ち位置。会社としては、CADオペレーターより技術者へ昇華させ、戦力とすることを期待する。
- 特に2.の傾向は、中小企業に多い。いずれにせよ、CADオペレーターとして就業するうえでも、土木一般の専門知識は必要であるため、勉強する覚悟は必要である。