次の文は、公共測量におけるトータルステーション(以下「TS」という。)による距離の測定について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。
1.距離測定の誤差は、距離に比例するものとしないものに分けられる。距離に比例するものとして大気の屈折率による影響など(〇:気圧、気温が影響する)があり、距離に比例しないものに位相差測定誤差(〇:波長の大きさと位相の測定精度によるもの。距離に依存しない)などが挙げられる。
2.距離を測定する際、気温が上がると測定される距離は短くなる(〇:下記解説参照)。
3.距離を測定する際、気圧が低くなると測定される距離は短くなる(〇:下記解説参照)。
4.TSについて、前回の機器検定から1年経過した(〇:測量機器の検定は1年(標尺は3年))ので、国土地理院に登録された比較基線場(〇)にて検定を行った。
5. TSとミラーとの間で往復して戻った光波の反射波と発射波位相差を測定し、これに光波の往復にかかった時間(×光波の波長)を乗ずることによって距離を求めている。
正の内容:赤マーカー、誤の内容:青マーカー
(参考)距離測定の補正方向
気象補正影響前の観測距離Ds、補正後距離をD、気象による誤差量をΔDとすると以下の関係が成立する。
$$D=D_{s}-\Delta{D}$$
ここで、気象による誤差量ΔDは、以下のように近似できる。
$$\Delta{D}≒(+1.0\Delta{t}-0.3\Delta{P}+0.04\Delta{e})\times{D}\times{10^{-6}}$$
ここで、Δt:気温の変化量、ΔP:気圧の変化量、Δe:湿度の変化量を表す。上記の式より、各々の気象変化に対し、以下の性質を有することが分かる。
各気象値が上昇した時の観測量の変化(各文字の符号に着目する)
気温、湿度 ⇒ 短くなる、 気圧 ⇒ 長くなる
気象変化の影響の大きさ(各係数に着目する)
気温(Δt) > 気圧(ΔP) > 湿度(Δe)
R5年度 測量士 過去問解答
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No.25 | No.26 | No.27 | No.28 | 択一総評 | 記述総評 | ||
2-B-1 | 2-C-2 | 2-D | 5-B | 5-C-2 | 5-D-4 |