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【CADオペレータ】CAD実務:レイヤ分けの手順と考え方

 こんにちは、少しばかり暖かくなってきたでしょうか。今回の記事は数日にわたって書くので、もしくしたら投稿するときは、桜が咲いているかもしれません。(更新日:2021/4/4 桜が咲いてしまいました)

 さて、本日はCADオペレータの仕事として、切っても切り離せないレイヤ分けについて、手順、考え方を書いていこうと思います。

私も初めの頃は、レイヤ分けを訳も分からずやっており、ぐちゃぐちゃにしていましたが、しっかりレイヤを分けてあげないと次の業者がすごく苦労します。正しく、そしてきれいにレイヤを分ける手順・考えをくみ取っていただければと思います。

1. レイヤ分けの必要性

 まず、レイヤ分けのどうしてやるのか?なぜやるかについて、解説していきます。主な理由は以下の二つです。

(1)「電子納品チェック」を通す

 一番の理由は、電子ファイルを発注者が規定した形式に整える必要があるからです。公共団体によって異なるかもしれませんが、「CAD製図基準(現在、最新はH29)」に従ったレイヤ分けで図面を整え、納品することが義務付けられています。

 図面レイヤをはじめとした成果品の形式は、「電子納品チェックツール」というソフトウェアでチェックが行われます。成果品には、このソフトウェアから出力されたエラーなしのチェックシートも一緒に提出しなければいけません。

 以上のように、納品時の最後の仕上げとしてレイヤ分けが必要となってきます。

(2)引き継ぐ業者に対し、使いやすい図面を作成する。

 上で述べた「電子納品チェックツール」というソフトでは、図面内のレイヤの名前が基準を満たしているかどうかをチェックしているだけで、その中身が本当に基準通りに分けられているかまではチェックしていません。

 そのため、極論を言ってしまえば、平面図等レイヤの種類がたくさんある図面でも、任意のレイヤ(例えば、「D-DOC」など)にすべての要素をぶち込んでしまえば、上記のチェックツールではOKとなってしまい、公官庁に出す書類を整えることができます。

 残念ながら、少なからず上記のようなレイヤ分けをして納品する業者はいます。そして、その業者の引き継ぎ資料をもらうと、ぐちゃぐちゃのレイヤになった図面にまず悪戦苦闘することになります。時間がないとは思いますが、次の業者のためにレイヤ分けはしっかりと行いましょう。

レイヤー分けイメージ図。イラスト屋、国土地理院地図を編集して作成。

2. レイヤ分けの手順

次にレイヤ分けの手順について、書いていきます。といっても、CADソフトによって要素をレイヤ分けする操作は違いますので、ここでは共通する部分だけ、考え方とともに述べていきたいと思います。

(1)規程のレイヤ名を作成し、並び替える

 いきなりレイヤ分けをするのではなく、まず最初に規定レイヤ名を作成し、それをCAD製図基準にまとめられている順番で並び替えます。規定されているレイヤ名は、図面の種類によって異なりますが、すべての図面で以下のようのような順番で並べられています。

レイヤ分けを何度か行っていけば、自然と順番も身につく部分もありますが、上記の順番には一定の意味があります(ただし、公言されているわけではないので注意)。

レイヤを上から順次表示していくところを想像してみてください。外枠(タイトル枠)から表示されていき、現況地図、そして構造物を作る基準線、そしてその基準線をもとに、構造物が表示されていく…というように、図面が外側(現況)から順次計画に至るまでの流れで、レイヤが並べられていることが分かると思います。

また、作業要素の並びについても同様です。TTLのオブジェクトでは、FRAM、LINE、TXTなどの作業要素レイヤがありますが、こちらについても外枠から表示されていくという意識を持って並び変えていくと、より自然とレイヤ分けになれることができると思います。

(2)レイヤ分けを順次行っていく

規程レイヤと並び替えが終わったのち、レイヤ分けをしていきます。レイヤ分けは使用するCADソフトによって異なるので、具体的な方法は割愛します。注意する項目や効率よく分ける方法を以下に箇条書きで書きます。

  • 作業するうえで、予めレイヤ分けをしながら図面を書いていく。できる限り納品時の作業を減らす。
  • 色や文字により、フィルタをかけ、レイヤ分ける。
  • レイヤ依存の文字、線種、幅はレイヤ分けを解除する。レイヤ分けの際、属性が変わってしまう恐れがあるため。

(3)レイヤ分けを確認する

最後にレイヤ分けが正常にできているか、確認をします。私は、レイヤ分けができているか確認する際、図面レイヤを非表示にし、上から順番に表示していきます。

(1)で述べたように、レイヤの順番は図面外枠⇒計画となっていますので、順次外側より図面が出来上がっていく様子を確認することができます。

また、レイヤを表示する際、同じ要素(例えば、基準線、文字列など)が表示されるので、誤ってレイヤ分けした要素が結構目につきます。例えば、文字列TXTのレイヤに線とかが入ってたら、その要素も文字列とともに表示されるので、間違いに気づくことができます。

レイヤ分け後の図面表示イメージ。国土地理院地図よりイメージ図を作成

3.まとめ

  • レイヤ分けは、「CAD製図基準(現在の最新版はH29)」に基づいて行う。
  • レイヤ分けは、①電子納品のチェック、②引き継ぎ業者に利用しやすい図面を提供するために行う。
  • レイヤ分けの際は、必ず規定レイヤの順番を並び替えてから行う。
  • 納品時、レイヤ分けの手間を少なくするため、できる限りレイヤを分類しながら作業を行う。

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