測量士補・測量士 過去問解答

【測量士 過去問解答】令和2年(2020)No.15

トータルステーションを用いて細部測量を実施した。既知点Aから求める点Bを観測し,方位角T =25°,距離S =190 mを得た。この測量において,距離測定の標準偏差が5.95 mm,角度測定の標準偏差が 5″であるとしたとき,求める点Bの位置の標準偏差は幾らか。ただし,角度 1 ラジアンは,\(2 ×10^{5}\)″とする。

解答

誤差伝搬の公式を利用して求める。ひとまず、問題文を図示すると以下のようになる。

① 誤差伝搬の公式で利用する偏微分を求める。

関数が非線形\(Y=f(x_{i})\)の場合、その誤差伝搬の公式は以下のように定義されている。ただし、\(x_{i}\)は互いに独立とする。

$$\sigma_{Y}^{2}=\sum_{i=1}^{n}(\frac{\partial{f}}{\partial{X_{i}}})^{2}\sigma_{x_{i}}^{2}$$

よって、まず最初に誤差伝搬の公式に必要となる偏微分を求める。

Bのx,y座標はそれぞれ(X=ScosT, Y=SsinT)より、S,T各々の偏微分を求める。

$$\frac{\partial{X}}{\partial{S}}=\cos{T} \quad \frac{\partial{X}}{\partial{T}}=-S\sin{T}$$

$$\frac{\partial{Y}}{\partial{S}}=\sin{T} \quad \frac{\partial{Y}}{\partial{T}}=S\cos{T}$$

② 角度の標準偏差をラジアンに変換する。

角度の標準偏差が秒表記であるので、ラジアンに変換する。問題文より1ラジアン=\(2 ×10^{5}\)″より、比率の計算から

1:\(2 ×10^{5}\)″=\(\sigma_{T}*\):5"
$$\sigma_{T}*=\frac{5}{2 ×10^{5}}$$

上記の値を、方向角Tの標準偏差として用いる。

③ 位置の標準偏差を求める。

位置の標準偏差は以下のように定義される。

$$\sigma_{U}=\sqrt{\sigma_{X}^{2}+\sigma_{Y}^{2}}$$

よって、①より、\(\sigma_{X}\),\(\sigma_{Y}\)を求める。

$$\sigma_{X}^{2}=(\sigma_{S}\cos{T})^{2}+(-S\sigma_{T}*\sin{T})^{2}$$

$$\sigma_{Y}^{2}=(\sigma_{S}\sin{T})^{2}+(S\sigma_{T}*\cos{T})^{2}$$

距離の標準偏差の公式に代入して

$$\begin{align}
\sigma_{U}^{2}&=\sigma_{X}^{2}+\sigma_{Y}^{2} \\
&=(\sigma_{S}\cos{T})^{2}+(-S\sigma_{T}*\sin{T})^{2}+(\sigma_{S}\sin{T})^{2}+(S\sigma_{T}*\cos{T})^{2} \\
&=\sigma_{S}^{2}(\sin{T}^{2}+\cos{T}^{2})+S^{2}\sigma_{T}*^{2}(\sin{T}^{2}+\cos{T}^{2}) \\
&=\sigma_{S}^{2}+S^{2}\sigma_{T}*^{2} \\
\end{align}$$

上記に、各値を代入する

$$\begin{align}
\sigma_{U}^{2} &=5.95^{2}+(190\times{10^{3}})^{2}\times({\frac{5}{2\times{10}^{5}})^{2}} \\
&=35.40+22.56 \\
&=57.96\\
\end{align}$$

$$\sigma_{U}=7.61$$

以上より、位置の標準偏差は7.6mm(答)

解答のポイント

途中で計算してしまうと、数字が細かいため非常にめんどくさくなる。③の式変形をすることで、代入を少なくし、計算自体を少なくすることができる。

R2年度 測量士 過去問解答

No.1No.2No.3No.4No.5No.6No.7No.8
No.9No.10No.11No.12No.13No.14No.15No.16
No.17No.18No.19No.20No.21No.22No.23No.24
No.25No.26No.27No.28択一総評 記述総評  
2-B-22-C-32-D-2,35-A5-B-15-C-35-D-2

測量士・測量士補コンテンツに戻る

-測量士補・測量士 過去問解答