測量士・測量士補 分野別解説

【測量士・測量士補】座標系の種類

最近、特に何も忙しいわけではないですが、疲れ果ててしまう日々が続いています。

さて、前の記事で超基本的な座標系の考え方を説明しましたが、次に測量で用いられる座標系の種類について概要を説明していきたいと思います。

測量法では、使用する座標系について、以下のように定めています。

第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。

一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。

測量法より

測量法で定めている位置の表記の方法は、①地理学的経緯度法、②直角座標系、③極座標及び平均海面からの高さ、ならびに④地心直交座標系です。

このうち、業務で用いられるのは②、④がほとんどです。試験でも座標系の知識について問われるのはこの2つです。それぞれ見ていきましょう。

(1) 平面直角座標系

実務で最も利用される座標系です。業務の中では「公共座標系」とか呼ばれたりします。全国を19の座標系に分け、各地域に対応した座標系が存在しています。

なぜ、複数の座標系に分ける必要があるかについては、また別の記事で書きます。ここでは、座標系の設定についてみていきます。

平面直角座標系では、以下のルールにより座標系が決められています。

① X軸は原点において子午線(おおよそ南北方向)と一致する軸とする。北を正の値とする。
② Y軸はX軸に直交する軸とする。東を正の値とする。
③ 原点をX=0.000m、Y=0.000mと定める。
④一つの座標系のゆがみを1/10000に抑える。(Yの値は-130km~+130km)

④のルールについては、また別の記事で紹介させていただきます。ここでは、、②のそれぞれの軸の方角について覚えておきましょう。

(2)地心直交座標系

平面直角座標系とともに、よく利用される座標系です。特にGNSS測量の場合は、こちらの地心直交座標系が用いられています。

こちらは、準拠楕円体という地球のモデルに重ねた座標系です。以下のように座標系のルールが決められています。

① 楕円体の重心を3次元座標系の原点とする。
② X軸は原点から子午線(経度0°)と赤道の交点を通る軸とする。
③ Y軸はX軸に対して直交(東経90°)し、赤道を通る軸とする。
④    Z軸は自転軸とする。
⑤ 日本では、地球楕円体としてGRS80Geodetic Reference System 1980)を採用している。なお、アメリカでは、WGS84World Geodetic System 1984)が採用されている。
⑥ ①~④の設定の座標系をITRF座標系International Terrestrial Reference Frame)と呼ぶ。

①~⑥の特徴について、覚えましょう。

(3)参考ページ

1.わかりやすい平面直角座標系 国土地理院HP
2.日本の測地系 国土地理院HP

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