【測量士・測量士補】倍角差、観測差を視覚的にとらえる。

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夏なのに、秋みたいな気候が続いています。早く梅雨が明けてほしいですね。本日は、倍角差、観測差を視覚的にとらえる(努力)をしてみたいと思います。

対回の点検操作は測量教本にもその原理は詳細に書かれておらず、やり方、制限値ばかり載っています。そのため、今回の記事は私のある意味妄想に近いところもありますが、参考に読んでいただければ幸いです。

11/26 計算ミスを発見したため修正。

1.対回観測の点検指標:倍角差と観測差

今、以下のように0°輪郭、90°輪郭で2対回観測をしたとします。

上記の角度観測の結果は、以下表のとおりでした。

目盛 望遠鏡 角度測定結果
0°輪郭 正位(r) 60°15′45″
  反位(l) 60°15′35″
90°輪郭 r 60°15′47″
  l 60°15′42″

さて、2回対回の良否を判定するとき、各対回の結果から倍角較差を求め、これらの値を対回間で比較、倍角差観測差を求めます。各値の定義は以下の通りです。

  • 倍角:同一対回の秒数和。(r + l)
  • 較差:同一対回の秒数差 (r – l)
  • 倍角差:複数対回間の倍角の差(Max-min)
  • 観測差:複数対回間の較差の差(Maxーmin)

とりあえず、言葉で書いてもわからないので、上の例で計算してみましょう、

目盛 望遠鏡 角度測定結果 倍角 較差
0°輪郭 正位(r) 60°15′45″    
  反位(l) 60°15′35″ 45+35=80 45-35=10
90°輪郭 r 60°15′47″    
  l 60°15′42″ 47+42=89 47-45=5
    倍較差/観測差 89-80=9 10-5= 5

このように、倍角差、観測差は計算されます、上の例だと倍角差は9観測差が5ですので、1級基準点測量の許容値(倍角差15″、観測差8″)を満たしています。よって、かなり精度の高い観測ができていると言えます。

2.点検指標が表す誤差

上記のように、対回観測の点検を行いますが、倍角差、観測差がどういう指標か非常にわかりずらく、また、ほとんど参考書にも説明がないため、ここで分からなくなってしまう人が多いような気がします。(私は、正直わからなくなりました)

そこで、ここでは倍角差、観測差は何を表す指標か考えてみたいと思います。

(1)教科書による倍角差、観測差の説明

最初に、教科書の説明を見ていきます。

  • 正反位観測により、視準誤差、水平軸誤差、望遠鏡の偏心による誤差などの誤差が消去される
  • 倍角差は、対回観測間の目盛り誤差、観測誤差を反映した差である。
  • 観測差は、対回観測間の観測誤差のみ反映している。
  • 倍角差は、目盛誤差分だけ観測差より大きな値が出る。

参考:飯村友三郎・中根勝見・箱岩英一(2010)公共測量教程 TS・GPSによる基準点測量

なんとなく、納得できるようなできないようなという説明ですね。なんで倍角差には目盛り誤差が含まれるのに、観測差には含まれないのか、わかりやすく理解するために、次の項でそれぞれの指標を視覚化してみます。

(2)倍角差、観測差を視覚的にとらえる

正反観測の秒単位の部分を取り出してみましょう。

  • 秒単位には、真値、観測誤差(視準誤差など)、目盛盤誤差により構成されている。(真値は差分を取ると相殺されるので、表示しない)
  • 観測誤差、目盛盤誤差は正の値とする。
  • 目盛盤誤差は、観測誤差に比べ十分小さいものとする。

それぞれの秒単位の構成要素を色分けして表示してみましょう、黄色観測誤差紫色目盛盤誤差を表します。

観測誤差>>目盛盤誤差であるため、黄色の部分が多くを占めます。上記の構成要素で、倍角較差を示してみます。

倍角では、正・反両方の誤差が加算されるので、小さい目盛盤誤差も無視できないほど大きくなります。一方で、較差では、小さい誤差を引き算するため、目盛盤誤差はほぼ0とみなしていいほど、小さくなります。

(公共測量教程 TS・GPSによる基準点測量(2010)では、正・反ともに同じ目盛りを読むため、観測夾角の差をとれば消去されると書かれていますが、正・反で読む目盛盤の位置は違いますので、あまり納得がいきませんでした・・・)

よって、較差は正・反観測の観測誤差を反映した指標とみなすことができます。

さらに、90°輪郭でもう1対回し、倍角、較差を求め、倍角差、観測差を視覚化してみます。

倍角差では、対回観測の観測誤差和ー目盛盤誤差和の差を反映します。正・反の誤差の和であるため、値が大きくなり、また目盛盤誤差が無視できなくなります。よって、倍較差は対回観測間の観測誤差要素に目盛盤誤差を加えた点検指標といえます。(目盛り誤差分だけ観測差に加算されるという説明は誤りだと思うので、ここでは避けます。)

一方で、観測差は、較差でほぼ0の目盛盤誤差をさらに引きますので、観測差の成分の中の目盛盤誤差はほぼ0とみなすことができます。よって、観測差は、対回観測間の観測誤差を反映した指標といえます。

以上より、倍角差、観測差をまとめると以上のことがいえます。

  • 倍角差は、対回観測間の観測誤差要素と目盛盤誤差要素を反映した指標。
  • 観測差は、対回観測間の観測誤差のみが反映しており、目盛り誤差を(ほぼ0)に消去できる。
  • 倍角差と観測差の違いは目盛誤差要素を含むか否かだか、単純にその差分が目盛り誤差分というわけではない。(要検討)

3. 参考資料

倍角差、観測差の解説資料は本当に少ないです。私の上記の解説も妄想・誤り等を含んでいますので参考程度に見ていただければと思います。

今回、参考にした資料は以下のとおりです。また、統計的な面もこの倍角差、観測差はありますので、そこについてもいつか記事にしてみたいと思っています。

  • 飯村友三郎・中根勝見・箱岩英一(2010)公共測量教程 TS・GPSによる基準点測量 ←下記リンク参照
  • 近津博文(1988)倍較差および観測差の統計学的考察 土木学会論文報告集 第388号 133-138  ←ネット上でダウンロードできます

4.参考ページ

【測量士、測量士補】対回観測を未経験者向けに解説してみた

 

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