次の文は、測量の誤差について述べたものである。ア ~ ウ に入る数式又は数値を埋めよ。
測量の誤差には、測量の条件が変わらなければ大きさや現れ方が一定した系統誤差と、誤差の原因が不明又は原因が分かってたとしてもその影響を除去できない偶然誤差がある。
偶然誤差だけを含む一群の測定値について、残差の値を横軸に、残差の相対度数を縦軸にとってプロットした点と結ぶと、例として図の破線のようなグラフが得られる。もし、測定回数を限りなく増やしたとすると、破線の形状は実線のように左右対称の曲線グラフになると考えられ、偶然誤差の分布は、一般に正規分布に従うと仮定される。
正規分布の確率密度関数は、平均値をμ、標準偏差をσとすると、ア で表される。
ア 式中の\(\frac{x-\mu}{\sigma}\)を式のようにZとおくと、ア はZについて平均値0、標準偏差1の標準正規分布として取り扱うことができ、正規分布表を使うことができる。
$$ Z=\frac{x-\mu}{\sigma}$$
例えば、ある距離の偶然誤差だけを含む一群の測定値について、平均値が100.000m, 標準偏差が0.012mの結果を得たとする。このとき、観測距離が100.020m以上となる確率を求める場合、式のZの値としてイを用いることで、表に示す正規分布表(上側確率)を使って ウ %を得る。


解答・解説
① 正規分布の公式
正規分布の公式は下記のとおりです。
$$f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^{2}}}\exp\left(-\frac{(x-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}\right)(ア)$$
ここで、f(x)に従う事象Δxの確率ΔPを最大とするためには、下記の式を最大にする必要がある。
$$\Delta{P}=\left(\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^{2}}}\right)^{n}\exp\left(-\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_{i}-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}\right)$$
ここで、ΔPを最大とするためには、自然対数eの係数\(-\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_{i}-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}\)を最大とすることと同義です。そしてそれは、各観測の残差の組み合わせ\(\sum_{i=1}^{n}(x_{i}-\mu)^{2}\)を最小にすることと同義となります。(→最小二乗法の統計的な説明)
② 標準正規分布の計算
与えられた式に条件を代入すると、x=100.020、μ=100.000、σ=0.012より
$$Z=\frac{100.020-100.000}{0.012}=1.67(イ)$$
この値を用い、正規分布表から上側確率を読み取ります。

上記より、上側確率は4.7%(ウ)
過去問類題
R5年度 測量士 過去問解答
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