100 点を満点とするある試験において,受験者の点数の分布が近似的に平均 60 点,標準偏差10 点の正規分布に従うことが分かった。この試験は 1,000 人が受験し,上位 3 % が合格する。この試験の最低合格点は幾らか。
ただし,必要に応じて表の値を用いよ。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

表は u = 0.00 ~ 1.99 に対する,標準正規分布の正規分布表(上側確率)である。
また,標準正規分布の確率密度関数 f(x)の上側確率 Q(u)は式で表される。
$$Q(u)=\int_{u}^{\infty} \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\exp(-x^2/2)\, dx\cdots式$$
これは図の着色部の面積にあたる。

例 :u = 1.23 に対する上側確率 Q(u)は,表の左の見出しから小数第 1 位までの 1.2 と,上の見出しから小数第 2 位の .03 とが交差するところで,Q(u)= 0.10935 が得られる
解答
本問題は、測量の知識は全く必要なく、統計学の問題となっています。見慣れない問題ですが、問題文にしっかりと誘導もあるため、例題の意味をくみ取ることができれば、解答できます。
① 例題で表の見方を理解する
まず、例題で表の見方を理解していきましょう。
例:u = 1.23 に対する上側確率 Q(u)は,表の左の見出しから小数第 1 位までの 1.2 と,上の見出しから小数第 2 位の .03 とが交差するところで,Q(u)= 0.10935 が得られる
文章を表で表すと、以下の通りになります。

ここで、上側確率Q(u)は、u=1.23以上の事象が起こる(含まれる)確率を示しており、今回はその確率がQ(u)=0.10935(10.9%)であることを表しています。
② 上位3%が含まれるuの値を探す
①より、表の中の数値はu以上となる事象、人数の確率を表すことが分かります。今回の問題では、上位3%の合格したときの最低点を求めるため、上位3%となるuの値を探します。

表より、u=1.88のとき、Q(x)=0.3005(3%)となります。
③ 実際の点数分布で考える
標準正規分布は、平均値0、分散1の正規分布を指します。
今、試験の受験者平均得点が60点、標準偏差が10点の正規分布に従うことより、標準正規分布から点数分布へ置き換えて考えます。

上図のように、標準正規分布の標準偏差1が、点数分布の標準偏差10に対応します。u=1.88のとき、上位3%が含まれていることから、合格者最低点数は、
$$60+10\times{1.88}=78.8$$
以上より、合格者最低点数は、79点(答)。
R4年度 測量士 過去問解答
No.1 | No.2 | No.3 | No.4 | No.5 | No.6 | No.7 | No.8 |
No.9 | No.10 | No.11 | No.12 | No.13 | No.14 | No.15 | No.16 |
No.17 | No.18 | No.19 | No.20 | No.21 | No.22 | No.23 | No.24 |
No.25 | No.26 | No.27 | No.28 | 択一総評 | 記述総評 | ||
2-B-1 | 2-C-2 | 2-D | 5-B | 5-C-2 | 5-D-4 |