こんにちは、最近暑すぎます。熱中症には気を付けましょう。
本日は、前回の記事で高低差の観測で、両差の補正について書きました。今日は両差、ならびにそのもととなる球差、気差の補正方向について見ていきます。
この部分についても、参考書でさらりと書かれているだけで、よく原理がわからない・・・。原理すっとばして暗記する人が多い部分だと思います。
1. 補正方向のまとめ
それぞれの誤差の補正方向は、正・反方向観測で異なります。まとめる下の表のようになります。
観測方向/ 誤差 | (1)球差 | (2)気差 | (3)両差 |
正方向観測 | +へ補正 | ーへ補正 | +へ補正 |
反方向観測 | -へ補正 | +へ補正 | -へ補正 |
正方向観測…既知点(既知標高)から新点の標高を定める観測。
反方向観測…新点から既知点(既知標高)を定める観測
両差は、球差と気差を合わせた誤差です。球差>>気差であるため、補正方向は球差と同じになります。
2. 球差、気差の生じ方・補正方向
それでは、それぞれの誤差の生じ方と補正方向について見てみましょう。
(1)球差
球差は、地球が球であるため、その曲率で生じた誤差をいいます、
A. 正方向観測

上記の観察の時、既知点H1と高低角α、球差εを用いて新点H2を表すことを考えます。上記は正方向観察を球差を含めて表した図です。球差により一部の高低差が、高低角より求めた高低差⊿hに反映されてないことが読み取れます。
よって、H2の高さは、
H2=H1 + ⊿h + ε (+へ補正する)
B.反方向観測

Aとは逆方向の観測で、H2を求めることを考えます。上記の図より、それぞれの関係を読み取ると、今度は球差分、過剰に高低差が⊿hに含まれています。よって、H2の高さを求めると
H1 = H2 - (⊿h - ε) ⇒ H2 = H1 + ⊿h - ε (-へ補正する)
AとBの平均をとると、球差εは消去されます。
(2)気差
気差は、光が地表部に向かって屈曲することによる視準線誤差のこと。
A.正方向観測

気差δが生じているとする。気差の影響で高低角を過剰にしてしまうため、新点H2の高さは、
H2= H1+⊿h -δ (-に補正する)
B. 反方向観測

また、反方向観測では、光の屈折の影響で高低角を過小になってしまう。(上記の図は両差も含んでいるので注意)。よって、新点H2の高さは、
H1 = H2 - (⊿h + δ) ⇒ H2 = H1 + ⊿h + δ (+に補正する)
上記の図の高低差には、球差εも含まれているので、正確に式で表すと
H1 = H2 -(⊿h- ε + δ ) ⇒ H2 =H1 +⊿h -ε + δとなる。
一度絵をかいて+方向に補正するか、-に補正するか導いておくと忘れてしまったとき、試験でも対応できると思います。(直前は、暗記でもOK!)