1月も終わり、公共事業も大詰めを迎えております。なかなか時間が取れず、更新頻度が少し下がるかもしれません。ご了承を。
本日は、CADファイルで必須知識であるSXFファイル形式について、ファイルの概要とファイル使用する際の注意点を書いていきたいと思います。
1. SXFファイル形式とは
CADのファイル形式・拡張子は、さまざまです。多くは特定のCADソフトとのみ対応があり、汎用的なCADファイル形式はあまりありません。
土木CADの代表的なファイル形式・拡張子については、下記のページをご参照ください。
【CADオペレータ】 CADの基礎知識:CADファイルの拡張子と対応ソフト
しかし、上記のように特定のソフトでしか使えない拡張子を用いられると、公共事業ではすごく不便となります。例えば…
- 発注者、ならびに次の事業を引き継いだ受注者がCADデータを開けない。
- 互換性があるファイルだったが、正確にCADデータが描画されない。
など、不都合が生じます。よって、複数の機関で、長期的に利用できる汎用性の高いファイル形式が必要となってきました。そこで、開発されたのがSXFファイル形式(Scadec data eXchange Format)です。
SXFファイル形式は、物理ファイル形式としてSXF(P21)形式とSXF(SFC)形式があります。どちらも特定CADソフトに依存しない汎用性のあるファイル形式であることは同じですが、以下のような違いがあります。
- P21形式は、国際標準規格に基づいたファイル形式であること。一方、SFC形式は国内専用のファイル形式である。
- ファイルのサイズ:P21形式 >>> SFC形式。
- P21ファイルは、国際標準に準拠した形式であるため、国土交通省で納品のファイル形式として採用されている。
CADオペをやっていると「P21に変換してください」という仕事を頼まれることもあると思います。その変換作業の背景には、上記のような理由があると覚えておいてください。
2. SXFファイル形式を使用する際の留意点
上記のように汎用性のあるSXFファイル形式ですが、使用する際にいくつか留意点があります。
(1)ファイルサイズが大容量になる。
特にP21ファイル形式のときに問題になるのが、ファイルの大容量化です。特に平面図などにDMデータを使用していると、場合によっては100MBとかになり、操作どころではなくなってしまう大きさになってしまいます。
しかし、国土交通省ではこのP21ファイルでの納品を採用しているため、できる限りP21ファイルを軽くして納品することが必要となります。
ファイルを軽くする方法は、とにかく「要素数を減らすこと」です。要素数を減らすために、実務の際、以下のことを行っています。
① 線分要素のポリライン化
線分をポリラインすることにより、CADデータ上の要素を減らします。これにより、以前140MB程度あったファイルを100MB程度まで軽くしたことがあります。
② 連続線分の補間
ファイルサイズが大きくなってしまう原因として、等高線などがショートベクトル化し、要素数が多くなっていることが挙げられます。上記のポリライン化もこのショートベクトルを減らす作業に当たりますが、これでもまだショートベクトルが残ってしまうことがあります。そこで、CADソフト上で連続線分補間機能を用い、ショートベクトルを一つの要素とし、ファイルサイズを軽くします。

上記の作業を行うことにより、140MBあったDMデータの平面図を60MBまで減らすことができました。まだCADファイルとしては大きいですが、これをするだけで大分操作のしやすさが違います。
少し手間かもしれませんが、DMデータ等大容量になりそうな図面を作成するとき、上記のような軽量化をすることをお勧めします。
(2)完全に元のファイルの形状を表現できるわけではない。
SXFファイルは、「2次元CADデータの要求を十分満たし、再利用時における使い勝手が確保されている」、いわゆるレベル2の段階まで開発が進み、現在普及しています。
それゆえに、線分要素、文字要素などはデータ変換しても崩れることはありません。しかし、他のCADファイルの要素が完全に表現できるわけではなく、表現できない要素もあります。以下に代表的な例を紹介します。
① 専用属性は引き継がれない
CADファイルによっては、線形要素など専用属性を付加できるものがあります。しかし、P21ファイルではこれらの専用属性は引き継がれません。
② 半透明のハッチングが表現できない
色塗りで何か表現したいとき、半透明のハッチングを使うことがよくあるかもしれません。しかし、半透明のハッチングはP21ファイル上では表現できず、すべて、塗りつぶしの属性になってしまうので、使用する際は注意が必要です。

3. 参考資料
平成19年度 SXF利用者のためのCAD製図解説書 国土交通省 国土技術政策研究所