こんにちは、あと1,2週間で梅雨に入ってしまいそうなので、外に出ておくのは今のうちですね。
さて、本日は土量計算によく用いられる平均断面法の説明をしようと思います。土量計算は、計算自体は簡単なのですが、考え方を理解しておかないと大幅に土量が異なってしまうことがあります。今回は、実務での使われ方も含め説明していきます。
1. 平均断面法とは
平均断面法は、道路、鉄道など細長い、土構造物の土量計算に用いられる方法です。
道路や鉄道を計画するとき、立体的にいきなり設計することはできないため、下図のような2次元的な横断図を作成し、測点ごとの横断構成を確認します。

上記のようなとき、多少の地形の起伏はあるにしろ、土量は各断面間で比例的に変化していると仮定しています。
つまり、上記のような盛土の土量は下図のような台形の立体となると想定されます。

このとき、土量の計算方法は、上図のような比例的に変化している立体の体積を求めることとなるので、
$$V=\frac{A_{1}+A_{2}}{2}\times{L}$$
と計算することができます。
2. 適用する際の注意点
原理的には簡単な平均断面法ですが、適用する際にはいくつか注意点があります。
(1)曲線部で使用する場合

上図のようにヘアピンカーブの土量計算をするとき、内カーブと外カーブで大きく距離が異なります。よって、上のように片方が切土、盛土となる場合、道路中心線L(m)を用いて平均断面計算を行うと、実際の土量とは大きく異なる計算結果が得られてしまう可能性があります。
このように、道路線形のRが小さい場合(数量計算要領ではR=50未満と記載)、盛土、切土の図心位置(上図のLc、Lbそれぞれ)を距離としてかけたほうが、より正確な土量計算ができます。
(2)断面変化点がある場合

上図は、(1)と同様、測点ごと横断図を作成し、平面図に反映した図となります。NO.1~NO.2に向かい、盛土量が大きくなり、NO.1とNO.2の平均断面から、右図のような盛土形状を展開しました。
しかし、実際はNO.1+10.0で谷形状となり、大きく地盤高が下がっています。このとき、正確に盛土形状、ならびに盛土量を計算する場合には、上記の断面に加え、NO.1+10.0での断面が必要となります。

NO.1+10.0の断面を加え、盛土形状と横断面図を作成してみます。NO.1+10.0では谷部になってますので、地盤高は下がり、横断図のとおり盛土量は大きくなります。先ほどの図と大きく盛土形状が異なるのが分かるかと思います。
このように、平均断面法で土量を算出する場合、地形が変化する箇所に横断がないと、大きく計算結果を誤ることがあります。路線測量の横断測量で「地形の変化点、および地物について横断を測定する」と規定されているのは、このように構造物を設計する際、ある程度正確な構造、数量を算出するためです。単に測点NO.で横断を取るのではなく、このような地形変化点を発注者、設計業者と協議して、測量する横断を決めることが重要です。
参考ページ、過去問
【測量士・測量士補】点高法の考え方
【測量士補 過去問解答】 令和元年(2019)No.25