【測量士・測量士補】水準測量の制限値(較差)をグラフで捉えてみた。

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こんにちは、9月になり勉強を始めた方も多いのではないでしょうか。サイトのアクセス状況を見ていると、そんな感じがします。

さて、本日は水準測量の制限値(較差)をグラフによって、視覚的にとらえてみようと思います。水準測量は制限値を超えた観測について、再測が求められていますので、再測区間の判断、理解に役立ててもらえればと思います。

1. 例題

図は,水準点Aから固定点⑴,⑵及び⑶を経由する水準点Bまでの路線を示したものである。この路線で水準測量を行い,表に示す観測結果を得た。再測が必要な観測区間はどれか。ただし,往復観測値の較差の許容範囲は,Sを観測距離(片道,km単位)としたとき,2.5mm√S とする。(H30 測量士補 No.13)

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観測区間 観測距離 往路高低差 復路高低差 較差 許容範囲 観測合否
A→(1) 500 m + 3.2249 m – 3.2239 m 0.0010 m 0.0018 m OK
(1)→(2) 360m + 0.5851 m – 0.5834 m 0.0017 m 0.0015 m OUT
(2)→(3) 360m – 2.6764 m + 2.6758 m 0.0006 m 0.0015 m OK
(3)→B 640m + 2.5432 m – 2.5446 m 0.0014 m 0.0020m OK

本問題では、各区間で往復差(較差)を求め、許容範囲内であるかどうか調べるます。H30年度では、(1)⇒(2)で許容範囲をオーバーしており、この区間が再測をする区間となります。

上記のように、区間内で許容値をオーバーしていれば、再測区間もわかりやすいのですが、実際には、すべての区間で許容範囲内であったとしても、区間全体A⇒Bで許容範囲をオーバーすることがあります。

例えば、この過去問のように。
【測量士補 過去問解答】令和2年(2020) No.11

2. グラフで許容範囲を考察してみる

さて、各区間で許容範囲に入っていたとしても、全体で許容範囲外になる状況を、グラフで捉えてみましょう。

較差の許容範囲は、σ=2.5√S(mm)(Sはkm単位)で表されます。よって、横軸に距離S、縦軸に較差σをとり、グラフで表すと以下のようになります。

放物線を横にした形になります。ここでは、正負両方の誤差が出ると想定して、±をつけています。この放物線の内なら、較差は許容範囲内、外なら許容範囲外となります。

さて、ここに各区間ごとの較差を書き込んでみます。許容範囲の式は、区間によらずσ=2.5√Sなので、ある一つの区間の許容範囲は、以下のようになります。

区間1を観測した結果、●の位置に誤差があったとします。区間1に続く区間2では、区間1の往復誤差が累積されます。よって、以下のように区間2の許容範囲を示せます。

さらに、区間3の往復較差を求め、全区間の観測を終了したとします。各々の較差は以下のグラフで示すような関係であったとします。

上記グラフより、確かに区間1~3では、較差は許容範囲内に収まっています。しかし、各々の区間で同じ方向の誤差が蓄積してしまっているために、全体の許容範囲は、満たしていないことがグラフより読み取れると思います。

3. 再測する区間はどこ?

区間ごとの許容範囲は満たすが、全体の許容範囲を満たさない場合も再測が必要となります。さて、どこの区間を再測すればよいでしょうか。

結論から言うと、最も較差が大きかった区間を再測し、全体の許容範囲内に入るか検討します。ここで重要なのは、あくまでも再測は、較差の絶対値が小さくなるように行うということを理解しておいてください。

例を見てみましょう。

以下は、上記の例において、区間1(較差が小さい)を再測した場合です。再測により、緑のように誤差が累積されるようになりました。

元々の較差が小さいので、再測によって、全体の較差を是正するほどの効果はありません。よって、較差が小さかった区間を再測することは、あまり意味がないといえ、較差の大きかった区間を再測するべきと考えることができます。

しかし、区間1の再測でも全体の許容範囲に入る場合もあると主張する人がいるかもしれません。例えばこんな結果が得られた場合です。

区間1で負の往復差が得られたことにより、全体での許容範囲を満たすようになりました。このような結果でもいいのでは?と思う方もいるかもしれません。

しかし、あくまでも再測の目的は、区間の較差(絶対値)を減らすことに意味があります上記の例では、往復差の符号が変わっているだけであり、肝心な較差は減っておらず、増えています。

よって、以前よりも区間1の測定が不正確に行われている可能性があり、再測する意義が希薄になってしまいます。

以上のことから、全体で許容範囲をオーバーした際、較差が最も大きかった区間で、較差が小さくなるよう(観測誤差が小さくなるよう)再測することが適切であると言えます。

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