図は、既知点に電子基準点のみを用いて実施する際の、平均図を模式的に表したものである。以下の観測条件を考慮して観測計画を立案し、解答欄に観測図を作図せよ。
なお、観測セッションは破線で囲い、観測順にアルファベットでAから順に表記する。(例 セッションA、セッションB、セッションC、…)
ただし、セッションの破線は、セッションごとの観測点がはっきり識別できるよう、線の引き方等に留意すること。
観測条件
・1級 GNSS 測量機を3台使用する。
・観測セッション数は最少となるよう計画する。
・偏心点は無く、節点は設けない。
・各測点間の移動時間や機器設置の難易度の差は考慮しなくてよい。
解答・解説
2年に1度ペースで出ているGNSS観測図作成問題。管理人も得意でないため、至らない解説になるかもしれませんが、参考程度にご利用ください。
以下の手順で、観測図作成を考えていく。
① 点検路線を計画する。
GNSS観測図を作成するうえで、まず、点検路線を計画する。今回は、既知点が電子基準点のみの結合多角方式なので、下記の方法で点検計画を立てる。
- 既知点とした電子基準点間を結合する路線で基線ベクトル成分の結合計算を行う。
- 結合計算に含まれないセッションについては、重複辺の較差又は異なるセッションの組み合わせによる最少辺数の多角形の基線ベクトルの環閉合差により点検を行う。
上記2.が本問2-C-2の解答となる。
原則、1.の方法で点検計算を行うため、本問で使用する点検路線を考える。下記のように点検路線を計画することができる。
なお、点検路線Ⅰは、2-C-4で点検計算する路線となる。また、電子基準点2⇒電子基準点3を結べば、既知点3点を結合できる。ここで、点検路線に含まれた基線と、含まれない基線を分類すると下記のようになる。
点検路線に含まれない基線((1)~(2)、(3)~(4)、(4)~(5)、(5)~(6))に関しては、セッション内で環閉合を設ける、もしくは異なるセッションの組み合わせによる環閉合を設ける必要がある。
② セッション計画を立てる。
上記①を踏まえ、セッション計画を順次立てていく。まず、基線(1)~(2)が点検路線に含まれないため、電子基準点1~電子基準点2で閉合差を求めるため、下記セッションAを設ける。
次に、(3)~(6)の基線で、セッション内、もしくは異なるの組み合わせにより環閉合を作成できないか考える。それぞれのセッションは、他のセッションと関連性を持たせるため、少なくとも2点他セッションと共通の点を用いる。最大GNSS3台を用いることを考慮すると、下記のようにセッションを組むことで(3)~(6)で環閉合を作ることができる。
- (5)~(6):セッションBの中で環閉合差を点検できる。
- (3)~(5):異なるセッション(A、B、C、D)からなる多角形の環閉合差から点検できる。
最後に、GNSS3台用い、電子基準点3まで路線を結合させ、セッション計画は終了。
解答のポイント
- 点検路線を確認し、結合計算に含まれない基線を確認すること。
- セッションは、必ず他セッションと共有する点を設け、関連を付けること。
- 結合計算に含まれない基線が、セッション内の環閉合、異なるセッションからなる多角形の環閉合で点検可能か確認する。
- 無駄なセッション、基線解析(例えば、無駄な基線解析が重複しているなど)がないか、最終確認をする。
上記のルールを守れていれば、別解もあると思います。地理院側がどう採点しているかは、不明です。
参考ページ
【測量士 記述式解答】令和3年(2021)2-C-4 GNSS点検計算
R3年度 測量士 過去問解答
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