基準点 A、B 間の距離を測定しようとしたところ、A、B間に障害物があり視通が取れなかったため、図に示すように、それぞれ偏心点a、bに偏心して観測を行い、表の結果を得た。基準点 A、B間の基準面上の距離 S は幾らか。ただし、距離はすべて基準面上の距離に補正されているものとする。

\(S_{e}\) | 1.487.228m |
\(e_{A}\) | 41.298m |
\(\alpha\) | 315°00'00″ |
\(e_{B}\) | 32.383m |
\(\beta\) | 90°00′00″ |
解答
相互偏心の公式(後述)に当てはめれば、答えを導くことができる。しかし、特段覚えるような公式ではないので、三角形の性質を用い、以下のように筋道立てて解いていく。
(1)基準点Aより、辺abに対し垂線を引き、Lの長さを求める。

(解説しやすいように図を回転させている)
上図のように、補助線を引きLの長さを求める。aPの長さが\(e_{A}\cos45°\)より、
$$L=S_{e}-e_{A}\cos45°-(e_{B}\cos90°)$$
(2)基準点Aから辺Bbに対し垂線を引き、Mの長さを求める。

さらに、上図のように垂線を引き、BQ(M)の長さを求める。AP(=Qb)の長さが\(e_{A}\sin45°\)より
$$M=e_{B}-e_{A}\sin45°$$
(3)三角形AQBに着目し、Sの長さを求める。
三角形AQBは直角三角形となる。よって、三平方の定理よりSの長さは、
\begin{align}S^{2}=L^{2}+M^{2}&=(S_{e}-e_{A}\cos45°)^{2}+(e_{B}-e_{A}\sin45°)^{2}\\
&=(1487.228-29.202)^{2}+(32.383-29.202)^{2}\\
&=1458.026^{2}+3.181^{2}=2,125,849.94\end{align}
よって、Sの長さは
$$S=\sqrt{2,125,849.94}$$
選択肢の中で最も近いのは、1,458.029m(=\(\sqrt{2,125,849.351}\))mとなる。
相互偏心の公式

問題と同様に、基準点A,Bを相互偏心し、偏心点a,bを設ける。\(S_{e}\)が既知であれば、Sは以下の公式で求められる。
$$S=\sqrt{(S_{e}-e_{A}\cos\alpha-e_{B}\cos\beta)^{2}+(e_{A}\sin\alpha+e_{B}\sin\beta)^{2}}$$
ただし、本式を丸暗記するのは厳しいため、解答のように順序だてて導く手法がお勧めである。
R3年度 測量士 過去問解答
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No.17 | No.18 | No.19 | No.20 | No.21 | No.22 | No.23 | No.24 |
No.25 | No.26 | No.27 | No.28 | 択一総評 | 記述総評 | ||
2-C-1 | 2-C-4 | 2-D-2,3 | 5-A-3 | 5-B | 5-C-1 | 5-D-3,4 |