公共測量により、新設する道路の線形決定をすることとなった。新設する道路の形状は、図
に示すように直線道路からクロソイドによる緩和曲線を経て円曲線となり、再び同様の緩和曲線を経て既存の直線道路に接続する。
緩和曲線は、対称型の基本型クロソイド曲線とし、点 A 及び点 B がそれぞれクロソイド曲線始点、点 P1 及び点 P2 がクロソイド曲線終点である。クロソイドパラメータは 80 m、曲線半径 R は 100 m、円曲線部分の P1 から P2 までの距離は 41 m、円周率 π = 3.142 とする。

問1.点 A から点 B までの距離は幾らか。整数で求めよ。
問2.「直線道路と円曲線の間に緩和曲線を用いる理由」及び道路において「緩和曲線にクロソイド曲線を採用することが合理的である理由」について、次の語句を使用してそれぞれ 50 字以内で記せ。
・直線道路と円曲線の間に緩和曲線を用いる理由に使用する語句:ハンドル
・緩和曲線にクロソイド曲線を採用することが合理的である理由に使用する語句:走行軌跡
問3. 次の1〜3の文は、クロソイド曲線の性質について述べたものである。正しいものには○を、間違っているものには×及び間違っている理由を記せ。
1.曲線長が一定の場合、クロソイドパラメータの値を増やすと曲線の曲がり方は緩やかになる。
2,曲線長が一定の場合、接線角の値を増やすと曲線の曲がり方は緩やかになる。
3.曲線半径が一定の場合、クロソイドパラメータの値を減らすと、曲線長は短くなる。
解答・解説
問1. クロソイドの基本式は以下のように表される。
$$RL=A^2$$
本問では、R=100、A=80であるため、緩和曲線長Lは、
$$L=\frac{80^{2}}{100}=64$$
対象型の基本型クロソイド曲線であり、円曲線区間P1~P2が41mであることから、A~Bまでの距離は
$$CL=64\times{2}+41=169$$
以上より、A~Bまでの距離は、169m(答)
問2-①. 直線道路と円曲線の間に緩和曲線を用いる理由
直線から円弧へ線形が変化する軌跡を走行するには、下図のように瞬間的にハンドルを操作する必要がある。よって、ハンドルの急な操作、乗員への衝撃が大きくなり、危険である。

そのため、直線と円弧の間に緩和曲線を挿入し、下図のように実際のハンドル操作に近い道路線形を計画する。

直線から円弧へ変わることによる、急なハンドル操作や、それに伴う衝撃を乗員へ与えることを防ぐため。(48字)(解答例)
問2-②. 緩和曲線にクロソイド曲線を採用することが合理的である理由
クロソイド曲線は、距離に応じて曲率が一定の割合で増加する性質を持ちます。

よって、クロソイド曲線は、「自動車が等速移動時にハンドルを同じ割合で操作(等角操作)したときの走行軌跡」と近似します。
クロソイド曲線は、自動車が等速移動時にハンドルを同じ割合で操作したときの走行軌跡と近似するため。(48字)(解答例)
問3-①. 曲線長が一定の場合、クロソイドパラメータの値を増やすと曲線の曲がり方は緩やかになる。
⇒〇(答)
A(パラメータ)は曲率の増加度(の逆数)を表す。曲線長が一定の時、Aが大きくなれば、曲率の増加度は小さくなり、小さくなれば曲率の増加度が大きくなる。
問3-②. 曲線長が一定の場合、接線角の値を増やすと曲線の曲がり方は緩やかになる。
⇒×. 接線角を増やすと、曲線半径が小さくなり、緩和曲線の曲がり方は急になる。(答)
接線角と曲線半径の間には、以下の等式が成立する。
$$\tau=\frac{L}{2R}$$
曲線長Lが一定の時、接線角τを増やすと、上式より曲線半径Rは小さくなる。さらに、クロソイドの基本式より、Aの増減を考えると、
$$RL=A^{2}$$
クロソイド基本式において、Lが一定であるとき、Rが小さくなっていることから、Aも減少する。
以上より、接線角τが大きくなると、曲線半径Rが小さくなり、パラメータAが減少することにより、緩和曲線の曲がりが急になる。
問3-③. 曲線半径が一定の場合、クロソイドパラメータの値を減らすと、曲線長は短くなる。
⇒〇(答)
クロソイド基本式\(RL=A^{2}\)により、R一定、A減少のとき、Lは減少する。
参考ページ
【測量士】緩和曲線(クロソイド)の基礎知識①:緩和曲線とハンドルの動き
【測量士】緩和曲線(クロソイド)の基礎知識②:曲率とクロソイド基本式
R3年度 測量士 過去問解答
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