公共測量における基準点測量により、電子基準点のみを既知点として2級基準点A~Dの4点を設置し、さらにそれらを既知点としてトータルステーション(以下「TS」という)を用いて3級基準点(1)~(3)の3点設置したい。図は、2級基準点測量の平均図に3級基準点と樹木の位置を模式的に示したものである。

TSを用いた3級基準点測量において、以下の条件を満たし、作業を効率的に行うことができる観測図を作図せよ。
(条件)
- 基準点測量の方式は結合多角方式とする。
- 測量に用いるTSの台数は、1台とする。
- A~(2)、B~(1)及び(2)~(3)の測点の間には樹木があるため、視通が確保できない。そのほかの測点間の視通は良好とする。
- 偏心点および節点は設置しない
- 厳密水平網平均計算を行う。
解答・解説
(1)多角路線網の条件
条件より、結合多角路線による3級基準点測量を計画する。多角路線網の条件は以下の通り。
NO. | 項目 | 基準 |
1 | 既知点数 | 3点以上 |
2 | 既知点間距離 | 1500m |
3 | 新点間距離 | 200m |
4 | 1路線の辺数 | 7辺以下 |
5 | 路線長 | 1000m以下 |
6 | 路線図形-1 | 外周路線の新点は、外周路線に属する隣接既知点を結ぶ直線から外側50°以下 |
7 | 路線図形-2 | 路線の中の夾角は、60°以上 |
※6,7路線図形

(2)多角路線網を作成する
(1)の条件を満たすよう多角路線網を作成する。問題文に条件が記されているため、これらにも留意する。
① 既知点を設定する
まず、既知点として利用する2級基準点を選点する。A~(2)、B~(1)で視通が効かない、節点、偏心点を設けないこと、そして新点間距離に注意すると、下記のように既知点を設定することとなる。

赤は採用した既知点、新点路線、青は視通不能な箇所。
② 新点間を結び路線を完成させる
次に、新点間を結び路線を完成させる。(2)~(3)の視通が効かないこと、路線図形の条件(できる限り外周路線を直線状にする)を考慮すると、以下のように路線を結ぶことができる。

赤は採用した既知点、新点路線、青は視通不能な箇所。
③ 水平角、距離測定を記入する。
作成した路線図に、水平角、距離測定を記入し、観測図を完成させる。TS1台使用であり、新点3点より水平角、距離を測定する。水平角は必ず、時計回り(R)の観測を記入する。距離については、角観測と同時に測定することを考え、方向を記入していく。
ここでは、国土地理院で公開している正解例を以下に示す。(距離観測、水平観測については別解がある可能性がある。要検討が必要)

参考ページ
【測量士・測量士補】多角測量の原理①:新点を定める要素
【測量士・測量士補】多角測量の原理②:新点座標の計算
R2年度 測量士 過去問解答
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